おなじみの古典落語「狸賽」と、これをもとに創作された長唄舞踊「天神さん」とを「見比べ・聴き比べ」をしてみた。「話芸」と「長唄舞踊」という二つの伝統芸能の表現方法の違いがよくわかって楽しい。
▼落語「狸賽」(古今亭志ん朝)
キツネ七化け、タヌキは八化けなんてことを申しまして、タヌキの方がキツネよりひと化け多いんですが、何かマヌケなところがありましてね。姿を見てもわかりますな、よく瀬戸物屋の店先にタヌキの人形が立っておりますけれども、あれを見てもわかります。笠をかぶってますけれども、まともにかぶっているのはあんまりいない。たいがいうしろの方にズッコケておりましてね、片方の手に徳利をぶらさげて、片方の手に帳面をぶらさげて、真ん中にもうひとつ何かぶらさげて立ってるんですが、どの人形を見てもあればかりなんで、ことによるとタヌキの社会に女はいないのかと随分心配しましたが、やっぱりいることはいるんでございますな。でもなるべく店頭には飾りたくないので作らないんだそうでございます。できたらさぞや立派なモノが・・・ま、そんなことはどうでもよろしんですけれども・・・
▼長唄「天神さん」(一奏みち)
♪人情ふわりと 紙風船 どこへゆくやら 雲のはて・・・
「おや、お前は昼間の子ダヌキ」
「へぇ、さよで。 おかみさん あの時は危ないところをお助けいただき」
「もしあそこへ あてが通らんかったら、お前は今時分 タヌキ汁や。まぁな何ごとものうて よかったよかった。え、なんやて、その時の礼を言いに来た。あかん、あれくらいのことで そない義理堅いことせんでもええ。喜んでもらえたらそれで結構。それよりもな、そんなヒマがあったら 早よ家帰って、親御さんに元気な姿見せてあげなはれ」
「それはもうとっくに穴に帰って親にそのことを申しました。そしたら私の親の言うことには、何が何でも もういっぺん、おかみさんのところへ行って ご恩返しをして来いと」・・・